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ヤマカワラボラトリ

ことばとおんがくがすきなめんへらさん、ヤマカワの研究所。

00012_勉強のできるバカ

もう10年以上昔の話。
 
「俺、よく勉強のできるバカって言われるんだよ」
と、友人が楽しそうに言った。
そいつは髪を染めていたり制服を着崩していたりバイトしたり、
教師たちがよしとしないようなことも平気でしているところがあった。
そいつと僕は部活が一緒だったのだが、そいつは部活も半分くらいはサボってたし、
カケラも「真面目」という言葉を感じさせない男だった、という印象がある。
 
対する僕はと言うと、クラスでもできるだけ目立たないように息を潜めて生きる「良い子」だった。
宿題も忘れずに出すし、授業もサボったことはないし、部活でもちょっと仲間を仕切る立場にいたりもした。
自分の長所を聞かれたら「真面目」とか「優しい」とか言っておけばいい、そういうタイプの生徒だった。
友人が冒頭に言った言葉を聞いて、「じゃあ僕は勉強しかできないバカかな」なんて思ったものである。
 
僕には友人が輝いて見えていた。
運動だって彼の方が出来るし、
楽器だって彼の方が出来るし、
先輩同期後輩に彼の方が慕われているし、
女の子にだって彼の方がモテている。彼女だっている。
それも令嬢が通う私立女子校の女の子だ。
 
才能の差を見せつけられた部分でもあるし、
努力の報われなさを感じた部分でもある。
 
偶然だが、大学受験のとき、彼と同じ大学を受けた。
同じ問題を同じ時間で解く。
自分は彼より難易度の低い学部を受験した。
結果、彼は大学に合格し、僕は不合格となって別の大学に進学した。
勉強しかできないバカは、勉強ですら勉強のできるバカに及ばなかったのだ。
 
勉強しかできないバカが、勉強さえできないバカになるのは、また別のお話。