ヤマカワラボラトリ

ことばとおんがくがすきなめんへらさん、ヤマカワの研究所。

00164_認められるために

陽性症状を呈していることは、幸せだと思っていました。

 

全能感がある。

音楽に感動する。

小説が面白い。

見るもの全てが美しい。

 

内面の充実は、陰性症状時代と比較にならないのはもちろん、

メンヘラになる前と比べても大きな感覚を伴っていました。

 

他の人に理解されなくても

「自分はもっと先を見ている。あなたが理解していないだけだ」

と軽くあしらっていました。それに深く頷いてくれる人も、実際いたのです。

 

「あなたが言うのはつまりこういうことでしょ。私はそれを理解した上で、なおこの考えでいるのです」

「どうしてこんなに言葉を尽くしているのに分かっていただけないんですか?」

「この良さが分からないのはあなたが劣っているからで、かわいそうだとすら思います」

「滑稽に見えるでしょう? でもこれがとても大切なんですよ。いずれ、あなたにも分かる形になります」

 

などというような思いがありました。

自分が最高で、自分が最強だと、そういう思いだったのです。

実際に尊大な態度、言葉遣いをすることも多くありました。



ところが最近、様子がおかしいことに気づき始めました。

 

上手くいっていたはずのことが、思い通りにいかなくなる。

雰囲気では絶対に自分が優勢のはずなのに、納得してもらえないことがずっと続く。

他の人の言っていることが理解できない。やたら時間がかかる。

 

小さなことに感動できる、などと言いながら、

どんなに小さなことでも過大に評価して感動してしまい、

本来感動すべき、本質。誰もが感じる本質を素直に感じ、噛みしめることができなくなっていました。

 

頭を使うゲームで自分が最善だと思って取った戦略が、次々と相手にかわされて負けを重ねました。



もしかして、妄想に踊らされているんじゃないか?



そうした思いが強くなってきました。

自分は、その瞬間気持ちよくなることばかりを考えて、人を見下し、妄想を確信し、調和を無駄にかき乱していたのではないか?

偉そうなことばかり言うだけ言って、結局結果が伴っていないではないか。

調子を合わせてくれる人たちだって、おまえが言っていることが妄言だと分かっていて、その上で演技してくれているのではないか?

逆におまえがする雰囲気だけを見て、お前の言葉の意味など何一つ伝わってなくて、雰囲気で返事をしているのではないか?

 

ネガティブにスイッチが入ると、ポジティブ方向に加速させたスピードがそのままで逆回転していきます。

 

自分のことがすべて妄言だとしたら、まだ分かりやすいのです。

自分が今考えていることが、正しい可能性があって、本当に価値ある考え方である可能性もあると思うから、一概に否定出来ないのです。

 

でも、それでは認められないと思うのです。

認められるために、覚悟を決めなければと思います。

生きるためには認めて頂くことが必要で、そのためには今のままではできないから、です。