ヤマカワラボラトリ

ことばとおんがくがすきなめんへらさん、ヤマカワの研究所。

00168_第三話『山川町のひとたち』

筆者が散歩をしていると、泣いている男の子を見かけた。

 

声をかけたほうが良いのだろうか、と思案する。

 

気付かないふりをして通り過ぎるのは簡単だ。

 

気づいてほしいのだろうか。

 

放っておいてほしいのだろうか。

 

お父さんやお母さんはどうしているのだろう。

 

でも、もし親御さんなくしたりしてたら余計に傷つけちゃうかな。

 

不自然に歩みを止めることはできないので、男の子と筆者の距離が少しずつ詰まっていく。

 

あーもう、どうしようかなぁ。

 

声かけちゃおうか、やめとくか。

 

やめとこ。

 

そう思って男の子の隣を通り過ぎた。

 

「やっぱりこの大人も助けてくれなかった」

 

そんな声が聞こえた気がした。幻聴かもしれないね。薬を飲んで寝ようね。