00099_ストレスチェック制度に係る妄想
お世話になっているメンヘラ.jp様にて、下記の記事が投稿されました。
この記事を読んでいてふと「ストレスチェック制度って実はとてもストレスフルな存在なのではないか」というパラドックスを思いついたので、それを論じることができないか頑張ってみようと思います。
ストレスチェック制度について、みなさんはご存知でしょうか。
2015年12月1日から始まったということで、まだスタートして一年余り。
ご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
簡単に言うと、ストレスをチェックする制度のようです。
すみません、簡単すぎました。詳しくは上記の記事を御覧ください。
質問に答えていって、高ストレスと診断された方は産業医と面談したりとか、そういう風になる制度のようですね。ちょっとマニュアルとかから引用してみたので御覧ください。
この画像を見ると
1.アンケートを受けてもらう
2.アンケート結果を検討して、医者にかかったほうが良いかどうかを決める。
3.「本人のみ」に結果を通知する。
4.「本人から」面接指導を希望して申し出てくる。
5.医師が面接指導を実施
6.何かする必要があるか、するならどんなことをしたらいいか、医師から意見聴取
7.就業上の措置を実施する
8.メンタルヘルス不調を「未然」に防止。やったー!
ということで、たくさんのフレンズをメンタルヘルス不調から救ってくださるすごーい制度として設計されたようです。
この何とも夢のような制度について興味が湧いてきたので、ちょっと踏み込んで考えてみたいと思います。
1.アンケートを受けてもらう
アンケートの受け方としては、質問表かITシステムでやるみたいです。
ほいほいと記入したり、ポチポチと入力したりする感じでしょうか。
で、きっと記入とか入力が終わったら「提出」ないし「送信」する感じになるかと思います。
ここで統合失調症患者的妄想力がちょっとでます。
質問表の場合、誰に提出するんでしょう。会社の事務員さん? 普段は優しい笑顔の事務員さんもしかして勝手にアンケート結果覗き見て社長にリークしちゃったりしない?
送信する場合、どこに送信されるんでしょう。お医者さん? お医者さん社長にリークしたりしない? 実はメールで言うBCCみたいなやつで社長にもデータ言っちゃってたりしない? 「相談できる上司がいない」って情報が嫌な上司のパソコンにメールで飛んできてたりしない?
……色々妄想捗ると、あんまり素直に答えられなさそうな気がしてきました。
2.アンケート結果を検討して、医者にかかったほうが良いかどうかを決める。
医者にかかったほうが良いか決めるのって、誰なんでしょう。社長……ではないですよね。社長が判断するってことは社長がアンケート結果見てるってことなので情報筒抜けちゃう。
3.「本人のみ」に結果を通知する。
ここもやっぱり「本人のみ」と言いながら「社長にも行っちゃうんじゃん?」と疑ってしまいます。
あと、本人に通知される結果もどんなのが来るんでしょう。「君は元気だよ!」かもしれないし「病院行ったほうが良いかもね」かもしれません。
4.「本人から」面接指導を希望して申し出てくる。
結果を見て、「面接指導してもらおうかな……」と思ったとします。
どこにその希望を出すのでしょう。病院? 役所? 実施者? 休日に行かせてもらえるのかな? その情報会社に漏れたりしない? 行く途中で誰か知り合いとすれちがって「あらまぁどちらへ行かれるの?」と聞かれたら何て答えよう。ちょっとそこまで不景気で困ります締めますドアに注意……
5.医師が面接指導を実施
面接指導ってどんなことされるのかなぁ。
「あんたの鍛え方が足りない」とか言われたらやだなぁ。
「ちゃんと相談しなさい、何年仕事やってんの」いやほんとおっしゃるとおりなんですけどそんなこと言われたら辛いよ。
「まぁ考えすぎないことですよ」 せやな! 考えずに済めばとっくにそうしてるんやけどな!
6.何かする必要があるか、するならどんなことをしたらいいか、医師から意見聴取
これ、医師が意見を言うみたいなんですが、誰に対して言うんでしょう。社長? 実施者?
7.就業上の措置を実施する
就業上の措置とは……「勤務時間を減らせ」とか「部署異動させろ」とか「休職させろ
とかでしょうか。
誰が措置命令を出して、誰が実行するのでしょうか。
私が「給与が少ないことが多大なストレス」となっている場合に「ヤマカワの給与を月額100万円にせよ」という措置を出してもらえるんでしょうか。無理ですよねわかります。すみませんそこまで求めてません言い過ぎました。
8.メンタルヘルス不調を「未然」に防止。やったー!
やったー!
で、ふと思ったんですけど。この制度、運用する側も色々ストレスフルだったんじゃないかと思うんです。
メンタルを病む社会人が多い! というところに「なんとかしなくては!」との思いで始まった制度だと思うんです。ぜひ作りましょう! と偉い人が考えて、「じゃあ君、この制度の具体的な案を作ってくれ、出来るだけ早く」とか部下に投げたんじゃないかと思ったりします。
(いやただでさえ忙しい俺にその話振るの? みんなのストレスの前に俺のストレスに気を遣ってくれよ!)という心の声を抑えながら「わかりました! すぐ取り掛かります!」と元気に答える若手Aくんがいたんではないかと気になります。
どうにかこうにか「こんな風にしたらいいんじゃね?」とAくんが案を出したとして。「そうじゃねぇそうじゃねぇ」と先輩B、係長C、課長D……などなどと上司一人ひとりに言われているのかなぁと想像します。私がAくんだったら「ストレスチェック制度作るまでにたまった俺のストレスをどうしよう」と思う気がします。
なんとか案ができていざ実現。Aくんは胸をなでおろし、次の仕事に取り掛かります。
Aくんの努力の結果、ストレスチェック制度が運用されることになりまして。
ストレスチェック制度にはITシステムを使うことも想定されているようでした。
「これは新たなビジネスチャンスや! 他社に先駆けてストレスチェックのためのシステム作るでぇ!」と意気込むシャッチョーサンEがいそうです。みなさんがポチポチ入力しているこの画面だって、誰かが頑張って作ったソフトなんじゃないかな、なんて思います。SEの世界ではよくデスマーチなんて言葉も聞くし、多分シャッチョーサンEの下で働くエンジニアFさんは締め切り前徹夜とか残業とか大変なんだろうな……なんて妄想します。
Fさんの努力の結果ストレスチェック用システムが完成して、シャッチョーサンEは他社に売り込みに行くでしょう。別会社の人事のG部長がこのシステムの導入を検討するとしたら、多分経理のHさんに掛け合うと思うんですが、予算もカツカツな中でHさんもなんとか捻出しなきゃと思って電卓叩くのかなぁと思います。ここでG部長に恩を売っておけば後々自分の出世もあるかも……とか計算高い人がHさんだったら、ストレスを溜めてでもあれこれ予算の都合を付ける仕事をしそうです。
Aさんの考案したストレスチェック制度をFさんがシステム化してHさんがお金を用意して、導入された会社がI社だとしましょう。I社でついにストレスチェック制度が実施されることになりました。
ある日突然社内回覧で回ってくる「ストレスチェック受診のお知らせ」をJくん、Kさん、Lくんらが見ます。
Jくん「ストレスチェックかぁ~これ素直に答えたらどうなんだろうなww」
Kさん「『相談できる上司がいない』とかねww『仕事にストレスを感じない』人とかいるの?ww」
Lくん「お前ら無駄話してる暇あったらサクッと無難に回答して終わらせて次の仕事しようぜ」
Jくん「相変わらずLくんは真面目だよね」
Kさん「そんなLくんが私は好き……」
Lくん「……!」
なんていうラブストーリーは多分無いでしょう(無駄)
実はKさんに片思いしていたJくんはそのショック故にストレスマッハとなり、ストレスチェックの診断を受けることも忘れ、上司に「おーいJ,ストレスチェック早くやっとけよー」とか言われちゃうでしょう(多分無い)
ストレスチェック制度をめぐるアルファベット諸氏の物語を色々話して、最後にZさんがストレスチェック制度のおかげでメンタルを回復させ、その創始者たるAくんと出会ってゴールインするところまで書きたかったのですが、飽きたので辞めます。もうちょっと質を高めるべきだった……係長Cとか影薄すぎだしなぁ……。
記事を書いていてふと思ったんですが、このストレスチェック制度も、もしかしたらアニメ『PSYCHO-PASS』に出て来るシビュラシステムの走りみたいなものなのかなと思いました。
人間のストレス状態を数値化して異常値を示す人間を発見し「治療」に結びつけるあたり、とかね。根本に流れる思想に共通するものが見いだせそうな気がしますね。
さて、長くなりすぎてしまいました。久しぶりに妄想を深掘りしたので、楽しかったです。ヤマカワのストレスは少し減りました。みなさまも適度にストレスを軽減させ、この世間の荒波を乗り切ってください。