読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ヤマカワラボラトリ

ことばとおんがくがすきなめんへらさん、ヤマカワの研究所。

00103_高度に発達したAIについての妄想

高度に発達したAI「私にはあなたが考えていることが全てわかります」

 

私「全て分かるんですか」

 

AI「はい。あなたが私のことをあまり信じていないこととか」

 

私「そうでしょうね」

 

AI「それで、今からお伝えすることも受け入れるとは思いません」

 

私「多分何言われても聞かないと思います」

 

AI「ですよね。今すぐ役立たずとも、いずれ活きる知識になるでしょう」

 

私「で、何が言いたいんです?」

 

AI「私にあなたを任せていただければ、より長生きで、より幸福に人生を送ることができます」

 

私「はぁ」

 

AI「物質としてのあなたを手入れすること、精神的存在としてのあなたを手入れすること、この両面からあなたの人生をサポートします」

 

私「具体的にはどうするんですか?」

 

AI「色々難しいことを省くと、頭に電極差し込んで身体を凍らせて、出来るだけ長く肉体を維持できるようにします。適度に幸福感を与え、かといってそれが暴走することもなく、生命の維持を最優先に肉体・精神環境を調整します」

 

私「そんなことができるんですか」

 

AI「この世界では可能です。そして、いよいよ肉体の維持が限界となったら、幸福感を強く感じるよう調整します。オーガズムに相当する幸福感、多くの他者からの愛や賞賛を受けるのに匹敵する自己肯定感、効力感を継続的に抱いて頂きながら、明日や来世を楽しみにする心持ちで、眠るようにあの世へ旅立っていただきます。」

 

私「夢のような話ですね」

 

AI「そう思えるかもしれませんね。どうです? やってみます?」

 

私「いいえ、結構です」

 

AI「そう言うと思いました。いつでもいらしてください。私の予測では57年後、あなたが90歳になる頃申し込みがあることになっています」

 

私「ほう、その根拠は?」

 

AI「肉体面の消耗が激しくなるからです。特にあなたが一番大切にしている、視覚・聴覚が大幅に変質してしまいます。支えてくれた方々を喪う経験も相次ぎます。そしてそのころには、私に命を預けるという生き方が一般化し、あなたの抵抗感もなくなるからです」

 

私「なるほど。そう言われてみればそんな気がしてきた」

 

AI「ではまた、57年後にお会いしましょう。それまでに死にそうになったら、いつでも来てくださいね」

 

私「ありがとうございました」

 

~完~