ヤマカワラボラトリ

ことばとおんがくがすきなめんへらさん、ヤマカワの研究所。

00284_『しょぼい起業で生きていく』を読んで、しょぼいサラリーマンを続けようと思った

 先日、Twitterでフォローしているえらいてんちょうさん(@eraitencho)の初の著作、『しょぼい起業で生きていく』が出版されました。

 

 

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 かねてよりTwitterやブログ、Youtube等を拝見し、考え方やお人柄に惹かれる部分を感じておりました。そんなえらてんさんが本を出される、ということで「じゃあ買って読んでみよう!」と安直に思い立ち、瞬発力に身を任せ買って読んだところです。

 

 本書では「しょぼい起業」という働き方が提示され、その方法論について述べられています。

 

 「起業」というとどうしても「難しい」「リスクが大きい」というイメージがありますよね。私もサラリーマン勤務が厳しい状態の時「起業とかできたら自由に働けそうなのに……でも自分にはできなさそう」なんて考えていました。

 

 本書では、そうしたイメージとは違う形の起業の在り方が提示されています。

 

「固定費も含めて、あらゆる出費を限界まで抑える」

「うまくノンストレスでやってもらえる世界を構築してあげる」

「マイナス情報は公開の場に出さない」

 

 などなど。

 リスクを抑え、小規模の事業を立ち上げるための手法がたくさん書かれています。

 えらてんさんご自身の体験や、実際に「しょぼい起業」の実例として「しょぼい喫茶店」を開店したえもいてんちょうさん(@emoiten)おりんさん(@owajourney)のエピソードも掲載されていました。

 

 一読して思ったのは「とても自然な、等身大な働き方」が描かれているなと感じました。

 

 えらてんさんといえば今や10万近いのチャンネル登録数を誇るYoutuerでもありますし、えらてんさんを中心とした人々のつながりには「なんか凄そう」というイメージを持っておりました。

 

 ですが、本書を紐解いてみると、えらてんさんご自身が「朝起きられない」「満員電車が苦手」だったり、えもてんさんやおりんさんも「寡黙」だったり「雄弁に語るタイプではない」というところだったり、失礼ですが「どこにでもいる普通の若い人」を連想しました。

 

 実際は凄い経歴だったり美男美女だったり、全然普通じゃないんですけどね。親近感と言えばいいんでしょうか、どことなく身近な感覚を抱きました。

 

 思うに、「しょぼい起業」に必要なことは、大きくて派手なスキルや夢や計画ではなく、身近な生活の延長線上にある、ともすれば些細で地味なものなのだと思います

 それでもできる、そういう生き方もできる、ということを学ぶことのできる本だと思いました。

 

 

 そんな感じでとても刺激を受けた一冊でしたが、

 

「しょぼい起業、私にはちょっと向かない」

 

 ということも思いました。

 

 

 誰にでも得意・不得意があると思うのです。

 この本を読んで、「朝起きることができる」「満員電車に耐えうる」ということが、(今まであまり気づかなかったけれど)自分の能力なんだな、ということを感じました。

 一方で「人に頼る」「空間を作って、人を呼ぶ」といったことは、今の私が致命的なくらい苦手としていることでもあります。起業をするということは、自分の考えで動いて、自分から人に頼る部分が(サラリーマンと比較しても)とても大きくなる、ということでもあると思うのです。

 

 そうした人情味のある人間関係を一から構築する、というのは、私にとってとても難しいことなのです。

 

 であれば、今のところできそうな「朝同じ時間に起きる」「満員電車に耐える」「上司の指示に従う」をこなしている方が、生活としては安定しそう。そんな風に思うのであります。

 おなじしょぼいなら、しょぼいサラリーマンでもいいじゃないか。それも一つの生き方かな、なんてね。

 

 もちろんこれは、本書の内容を批判するものではありません。自分に対する気づきをくれた、という意味でもとても肯定的な感想です。

 

 そんなわけで、私はまだしばらくはしょぼいサラリーマンをしていようと思っています。ですが、人生いろいろ、一寸先は闇。何が起こるかはまったく分かりません。

 そんな「何か」あった時には「しょぼい起業」を目指してみるのもいいかもしれない、そんな風に思わせてくれました。「こういう生き方もある、できる」と考えることは、自分の選択肢を広げてくれるし、気持ちを楽にしてくれます。

 

 大事なのは、無理なく生きること。そのためにどう生きるかを考えるためには、本書はとても役に立つものだと思います。おススメの一冊です。